高知シネスポット
「愛の流刑地」

 難解だった“R―40”

「愛の流刑地」の一場面

 不倫という“禁断の愛”に落ちた男女の衝撃的な結末が話題となった「失楽園」から10年。作家・渡辺淳一が再び大人の究極の愛を描いた“愛ルケ”が映画化された。

 「R―15」とあって、物語はマンションの一室でのベッドシーンから始まる。愛の絶頂へ向かう男女。そのさなか、冬香(寺島しのぶ)は「本当に愛しているなら、私を殺して」と懇願する。

 いきなり修羅場から幕を開けるが、相手の男・菊治(豊川悦司)は望み通り絞殺する。法廷で殺意の真相を追及される菊治。その罪は殺人か、嘱託殺人か…。

 本作のキャッチコピーは「すべての大人の女性に捧(ささ)げる、“究極の純愛”ストーリー」。緊張したシーンが続くが、“ぬれ場”においてもしかり。究極の愛におぼれていく男女の心情を真摯(しんし)に描き、生々しくはあっても、いやらしさはない。

 地方出身でいまひとつあか抜けなかった冬香が、官能の世界へと導かれ、色香漂う女性へと変ぼうしていくさまは見どころだ。

 そして忘れてならないのが、長谷川京子演じる検事の美雪。妖艶(ようえん)な女性として登場するが、実は彼女も不倫経験者。

 事件をただの痴情のもつれと高をくくっていたが、調べるうち、2人の愛の深さに気付き、愛されて死んでいった冬香をうらやましく思い始める。本作では、命ある美雪よりも、「死」という形で愛を昇華させていった冬香が、より幸せな女性として描き出されているのが面白い。

 実は、本作を2度見た。なぜ、菊治は冬香を殺さねばならなかったのかが分からなかったからだ。本当に愛するが故の結末か。今でも分からない。大人の女性にささげられた話は、26歳の青二才には少々難し過ぎたようだ。そういった意味では、「R―40」といったところか。

 監督はテレビドラマの演出を多数手掛け、本作で映画監督デビューとなる鶴橋康夫。

 【写真説明】「愛の流刑地」の一場面

(07年1月17日・加治屋隆文)

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