
07年3月17日付・夕刊
ボンバルディア以外選択ない? 利便、経済性で航空会社
低騒音、高速度、燃費の良さ…。胴体着陸事故を起こした双発プロペラ旅客機「ボンバルディアDHC8―Q400」は、航空会社にとっては抗しがたい幾つかの魅力を持っていた。トラブルが相次ぎながらも、利便性と経済性を捨てきれない――空をめぐるそんな事情が、事故を通じて浮かび上がっている。
DHC8―Q400は国産のYS11の後継機として導入が進んだ。74席と座席数が多く(YSは64席)、スピードはYSの1・5倍、必要燃料は小型ジェットの60%、価格もジェットの約半分と航空会社にとってはいいことずくめ。全日空、日本航空グループとも購入し、現在国内28路線で離島や地方都市を結んでいる。
そのうち半数以上の15を占めるのは、中近距離を中心に大阪空港を離着陸する路線。住宅地に近いため、大阪空港は1日370回に発着数が制限されている。中でもジェット機の発着枠は制限傾向にあり、16年度までは250回だったのが、19年には200回に。相対的にプロペラ機の発着数を120回から170回に増やさざるを得ない実情がある。
兵庫県空港政策課の幹部は「発着枠を考えると、スピードが出るボンバルディアは利便性が高い。トラブルが多いと知っていても『いらない』と言えない。痛しかゆしだ」と打ち明ける。
操縦経験のある現役パイロットによると、大阪―高知の飛行時間は、ジェット機より5分ほど長いだけ。このパイロットは「ボンバルディアのメリットは高速度、低燃費、低騒音だ」と言う。
全日空によると、ボンバルディア機は運航前点検だけが求められ、エアバス、ボーイング機などで実施している折り返しの際の整備士による飛行間点検を原則必要としないなど、整備コストも抑えられている。
74席という座席数は、中近距離で需要が多いという。このクラスのライバル機種が少ないことも地方路線で重宝されてきた理由の一つ。慶応大の中条潮教授(交通経済学)は「100席以上はジェットがあって、50席以下だとプロペラ機が多い。その中間は競争相手が少ない」と説明する。
13日、高知空港で胴体着陸した便の乗客は「もうボンバルディアには乗りたくない」と声を上げたが、翌朝の大阪―高知便の乗客からは「やっぱり飛行機でないと…」との声も出た。
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