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高知耐え抜いて栄冠 初回の2点死守

 四国秋季高校野球最終日は4日、香川県オリーブスタジアムで高知―今治西の決勝を行い、高知が2―1で接戦を制して21年ぶり5度目の優勝を飾った。県勢の秋の四国ナンバーワンは1998年の明徳義塾以来8年ぶり21度目。(1面参照)  12年ぶり2度目の顔合わせとなった決勝対決は初回、高知が一死二、三塁から4番矢野の右前打で2点先制。高知はその後、得点圏に走者を進めながら追加点を奪えず、逆に四回、今治西にスクイズを決められ2―1。しかし、先発森田を五回からリリーフした国尾が無失点でしのぎ、逃げ切った。

 優勝した高知は11日に開幕する明治神宮大会に四国代表として出場する。高知の出場は1973年以来2度目で、四国大会が予選となってからは初。組み合わせは既に決まっており、高知は第2日の12日午前11時から帝京(東京)―中国地区代表(未定)の勝者と対戦する。同大会の優勝校が所属する地区にはセンバツ出場の「明治神宮枠」が割り当てられる。

【高知―室戸】1回表高知2死一、二塁、森田が先制タイムリーを放つ(オリーブスタジアム)
▽決勝
高知 200 000 000
今治西 000 100 000

 【評】高知は初回の2点を森田―国尾の継投策で守り抜き、今治西に競り勝った。

 今大会初登板の森田は四回、連打と犠打の一死二、三塁からスクイズで失点。なお二死三塁は捕邪飛でしのいだ。五回から登板の国尾も六回、3、4番の短長打で無死二、三塁のピンチ。しかし、変化球を効果的に使い内野ゴロと三振で無失点に切り抜けた。被安打7はすべて3番以下。1、2番の出塁を許さなかったのが大きかった。

  打線は初回、高木四球、山本二塁打の一死二、三塁で4番矢野が右腕熊代の外角変化球にうまくバットを合わせた2点右前打。その後も六、七回以外は毎回走者を出したものの、今治西の堅い守りに3併殺を喫するなど追加点を奪えなかった。しかし、無失策の守りで1点差を耐えた。(西村博文)

 【写真説明】【高知―今治西】1回表高知1死二、三塁、4番矢野が先制の2点右前打を放つ。捕手潮(オリーブスタジアム)

 ベストゲームだ

 高知・島田達二監督の話 簡単に勝てる相手でないと思っていたが、よく選手がしのいでくれた。全国レベルでは(熊代のような)点を取れない投手ばかりだと思うので、守り中心の野球が必要になる。今日はベストゲームだと思う。

 大胆に試運転

 高知の先発はエース国尾ではなく、「背番号3」の森田だった。

 もともと夏の県大会では背番号1をつけた。速球に力があり、制球も悪くないが、国尾の急成長で陰に隠れた格好。県予選の初戦で3回投げただけだったが、大切な決勝で出番が来て、4回1失点。

 島田監督は「上を狙うにはピッチャーが2人いる。それもこういう試合での経験が必要」。大一番が試運転とは何とも大胆だったが、期待に応えて、森田も「気持ちよかった」。(西村博文)

 隠れた“好守”底光り

 野球の面白さは得点シーンにあるのだろうか。真の妙味は、どう失点を阻むかにあるのではないか。そして、そこでチームの強さも測ることができる。

 高知の六回の守りは連打の無死二、三塁。1点リードしているものの、今治西のエース熊代は尻上がりに調子を上げてきた。1点勝負が見えて、当然、1点もやりたくない場面だ。

 マウンドの国尾は低めに球を集めた。その心は内野ゴロを打たせること。注文通り、5番打者をサードゴロ、6番はショートゴロに仕留め、この間走者はくぎ付け。最後はスライダーで三振に切って取った。

 見事な投球だったが、実は無失点にはもうひとつ、見逃せないプレーが隠されている。この回先頭の3番笠原の打球は右翼ライン際に飛んだ。長打覚悟と思われたが、植木がフェンスに当たったクッションボールをダイレクト処理、二塁を許さなかった。

 最初の打席で二塁打を記録している打者に対して「長打警戒で後ろに守っていた」植木のファインプレーだった。植木は四回にも4番熊代の右中間に抜けそうな打球を、あらかじめ左寄りに守ったことで、単打で止めた。

 半年前の春季四国大会。最終回までリードしながら今治西に逆転負けした。島田監督は「(春季のことが)頭をよぎった」というが、ナインは成長していた。打者によって守備位置を細かく変え、状況に応じたプレーをした。六回無死二、三塁でゴロをさばいた三塁筒井は「1点勝負でしびれる試合だったけど焦らずいけた。気持ちを強く持てた」。

 「こういうゲーム。こういうゲームだと思う」と島田監督。派手ではないが、底光りする勝ち方。高知はこの一戦で、もう一段強くなった。(西村博文)

 総評 堅実な守りが「強さ」

21年ぶりの四国王者に輝き、大菊主将の持つ優勝旗を先頭に行進する高知ナイン(オリーブスタジアム)

 21年ぶりに秋の四国を制した高知の強さが際立った。投攻守に安定し、3試合を通してもろさを見せなかった。

 「強さ」を形づくったものは何か。パワーや、ギリギリの場面をしのげる精神力もそうだろうが、高校野球の場合でも、最終的には「技術」に行き着くのではないか。高知の戦いに、そう感じた。

 端的に言うと、投手を中心に守り抜くことだ。高知は3試合で失策1、与えた四死球は2個だった。当たり前のことだが、余計な走者を出さないからピンチは少ない。

 超ファインプレーがあったわけではない。しかし、何でもないように見える守りも基本あってのもの。打球の正面に入る、ストライクの送球をする―。それがしっかりしてこその堅守だった。

 初戦の丸亀城西戦で、国尾は丁寧にコーナーをついた。ストライクとジャッジされてもおかしくない決め球が際どくボールになる場面が、しばしばあった。リズムを崩しかねないが、全く動じなかった。島田監督は精神的成長をたたえたが、国尾自身は「コントロールが良くなった」ことを理由に挙げた。技術の向上が、ボールとコールされた後、もっといい球を投げられる自信につながった。

 本県の県立校として22年ぶりにベスト4入りした室戸をけん引したのもエース森沢を中心とした守りだった。1回戦は無失策、3試合で2失策と鍛えられていた。打線はもうひとつでも、投手を軸にした守りが確かなら、県立校でも四国の舞台で十分戦えることを証明した。初出場の昨年のコールド負けを糧にした戦いぶりは称賛できる。

 明徳義塾も川之江戦は無失策。ただ、頼みの投手陣が15安打を浴びては苦しい。初戦敗退は残念だったが、強い明徳復活のために投手力のアップが欠かせない課題としてはっきり見えた。

 「守備はうそをつかない」の言葉がそのまま当てはまる大会だった。準優勝の今治西も準決勝、決勝と無失策。今大会11試合で無失策だったのは延べ7校。そのうち4つが1、2位校が記録したものだから、決勝対決は当然の結果で、最後も無失策試合で締めてくれた。

 大会序盤は打撃戦もあり、準決勝は2試合ともコールドゲーム。四国全体のレベルは決して高いとは言えないかもしれない。それだけに、中四国のセンバツ出場枠5校のうち、四国が3校目の枠を取れるかどうかは不透明だ。

 ベスト4の室戸の処遇が気になるところだが、ネット裏の関係者の中にはその戦いぶりに好評価があった。今後、四国推薦校を決める「21世紀枠」でも期待したいところだ。(西村博文)

 【写真説明】21年ぶりの四国王者に輝き、大菊主将の持つ優勝旗を先頭に行進する高知ナイン(オリーブスタジアム)

(2006年11月5日付・朝刊)


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