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 高知5年ぶり14度目V 四国大会第3代表は室戸

 第59回秋季四国地区高校野球大会県予選最終日は8日、春野球場で決勝と3位決定戦を行い、明徳義塾―高知の決勝は、高知が11―7で勝って5年ぶり14度目の優勝。3位決定戦は室戸が高知商を4―2で下し、2年連続2度目の四国大会(28、29日、11月3、4日・オリーブスタジアム)出場を決めた。1位高知、2位明徳、3位室戸の県代表3校の組み合わせ抽選会は24日に行われる。

 決勝は高知が1試合最多塁打の県記録を塗り替えた山本の2打席連続本塁打など五回まで毎回得点の10点。エース国尾も六回まで無失点で流れを手放さず、明徳の終盤の反撃をしのいだ。高知商―室戸は小刻みに4点を重ねた室戸が先発森沢も2失点の力投で競り勝った。

▽決勝
明徳義塾 000 000 304
高知 221 410 01× 11
【明徳―高知】1回裏高知1死一塁、山本が先制の右越え本塁打を放つ。捕手伊藤(春野球場)

 【評】高知の打棒が爆発した。五回まで毎回の10点で主導権を握り、明徳義塾の終盤の追撃をかわした。

 高知は一回、ヒットの高木を置いて山本が右越え本塁打。二回は高木の2点二塁打、三回には山本が2打席連続の本塁打。明徳の3投手に五回までに長短15安打を浴びせた。計18安打11打点だが、特に3番山本は4安打6打点の上に、県記録の13塁打の大暴れだった。先発国尾は八回を除く毎回走者を出したが、六回まで無失点。大量援護にも助けられて完投した。

 明徳は二回途中から継投策に出たが、2、3番手の南野、村上もつかまった。五回から再登板の谷口が2失点と粘り、七、九回に松岡の2点本塁打などで計7点をかえしたが、前半の失点があまりに大きすぎた。(横田宰成)

 【写真説明】【明徳―高知】1回裏高知1死一塁、山本が先制の右越え本塁打を放つ。捕手伊藤(春野球場)

 攻め手ない展開

 明徳は五回までに毎回の10失点。大きく開いた点差を追い掛ける展開に、送りバント、盗塁など小技が使えない苦しい攻めを強いられた。

 0―4の三回、山田の二塁打の無死二塁で続く2番片野へのベンチのサインはセーフティーバント。しかし失敗に終わり、結局内野飛アウト。

 「最悪でも走者を三塁に進めようと思って(バットに)あてにいってしまった」(片野)わけだが、2球目以降のベンチの意図は違った。「(走者を)進めるだけなら送りバントのサインを出す。自分も生きるために逆方向狙うバッティングなど考えが必要」と馬渕監督。四国大会では投手陣が踏ん張り、もっといやらしい攻めができる展開に持ち込むことが勝利への前提になりそうだ。(西村博文)

 ▽1試合最多塁打 明徳―高知戦で高知・山本真弥矢中堅手が1試合13塁打を記録。これまでの最多は今大会1回戦の高岡―土佐戦で土佐・森隆太朗投手が記録した10塁打。

 山本13塁打の大暴れ 狙って連続アーチ

 高知の一回の攻め。一死一塁。3番山本のバットが一閃(いっせん)した。球が右翼芝生席で弾んだ。先制本塁打に163センチの小柄な体がダイヤモンドを跳ねた。

 8月の県新人戦の決勝。明徳義塾に22安打20失点を喫した。初回に味方投手陣が浴びた連続本塁打に、「ホームランはチームを勢いづける」ことを見せつけられた。

 だから、「最初から狙っていた」。ここまで13打数1安打と結果は出ていない。だが、「スイングスピードはチームでも1、2」(大菊主将)。「感じは悪くない。速球に負けない自信があった」と、狙いを定めた内角直球を迷わず振り抜いた。

 二回で4点リード。でも「何点あっても安心できない」。三回の第2打席も本塁打を狙ったという。今度は左腕南野の内角変化球を右中間に特大のソロアーチ。続く2打席は「狙っていた」スタンドにこそ届かなかったが、三塁打と二塁打。6打点の大暴れに、「4+4+3+2=13」の塁打新記録のおまけも付けた。

 3番の快打にナインも勢いづく。五回まで毎回の10得点だ。新人戦の借りを返した島田監督は「選手の攻める気持ちがうれしかった」と成長ぶりを褒めた。4試合で53安打42点。猛打で5年ぶりの頂点に立ったわけだが、「四国大会ではきょうの攻める気持ちを大切に、1戦1戦勝ち上がりたい」と大菊主将。照準はズバリ6年ぶりのセンバツ出場。高知は新たなスタートを切った。(横田宰成)

 室戸が高知商破る 森沢が2失点好投

▽3位決定戦
室戸 001 110 100
高知商 010 100 000

 【評】室戸打線は上下位ともコンパクトなスイングで長短13安打。夏の甲子園マウンドを知っている高知商の小松豊を完ぺきに打った。

【高知商―室戸】4回表室戸2死二塁、田中が勝ち越しの中前打を放つ(春野球場)

 五回、三塁打の松本がボークで本塁を踏んで勝ち越したが、ストレートを狙い打って三回以降毎回ヒット。バットのしんで球をとらえた。3番に回った泉は2安打2打点。3安打の2番松本とつながった。5犠打と細かい攻めも見せたが、要所では何度かバント失敗もあり、四国大会に向けて修正点になる。エース森沢は序盤こそ制球に苦しんだが、中盤からはスライダーが決まるようになり、投球の幅が広がった。

 高知商は二回、小松豊の本塁打で先制したが、攻守にわたってミスが目立った。最後までリズムをつかみ切れなかった。(西村博文)

 【写真説明】【高知商―室戸】4回表室戸2死二塁、田中が勝ち越しの中前打を放つ(春野球場)

 強豪への一里塚 室戸泥臭く勝ちきる

 決して格好の良い攻めではなかった。守りのミスも出た。1点ずつ1点ずつ、身を削るようにして4点を取った。泥臭い試合だったが、それでもいい。室戸は再び四国の舞台に立つのだから。

 昨年は手探り状態の県代表獲得だった。初めての四国の舞台は地に足がつかないうちのコールド負けだった。しかし、チームは県大会より一つランクアップした大会の空気を肌で知った。そのメンバーのうち中山、森沢、北岡、泉の4人が残った。

 “財産”を途切れさせたくない。前日の準決勝で高知に完敗した直後、横川監督はナインを「四国に行けんかったら、元の室戸に戻る」と叱咤(しった)した。一塁側ベンチでの長いミーティングで指導者の思いの丈を伝えた。

 高知商との3位決定戦。バントを2度失敗するなど、まずい攻めもあったが、ナインは気持ちで応えた。エース森沢は武器の直球を見せ球にしてスライダーで打ち取る投球。8安打6四死球と決して良い出来ではなく、失策もあった。しかし、1イニング2点目は許さなかった。

 七回無死二塁をしのいだ後、2点リードの八回、初めて連打を浴びて一死一、二塁。次打者のセンター返しの打球に森沢は反応した。グラブで止めた打球は勢いで胸にあたった。必死だった。

 2年連続の四国大会出場にこだわった横川監督は「ちょっとずつでも上に行くことで“血”が通い始める」。それは「甲子園」への道を見つけ、歩くためのチームのDNAづくりでもある。(森本敦士)

 記録に残らないミス

 昨年優勝の高知商は攻守にわたって記録に残らないミスが続出、四国大会切符を逃した。

 不調のエース小松豊は被安打13ながら4失点。「悪いなりに辛抱した」投球で試合をつくった。2併殺、左翼木村の本塁への好返球もあった。

 しかし、ちょっと見には分からないミスは少なくなかった。三回はベースカバーの遅れのタイムリー内野安打。四回にはファウルフライを取り損ねた後に適時打を浴びた。攻撃でも五回に左翼線上の飛球を打者が「ファウル」と自主判断。走り出しが遅れて、長打をみすみす単打にしてしまった。

 「防げる点を相手にやり、取れる点を逃すのでは…」と岡村監督。ナインは「基本ができてなかった」と目を腫らした。(横田宰成)

監督談話

 積極性が生きた

 高知・島田達二監督の話 前半の大量点で主導権を握れた。選手の積極性が生きた勝利だが、勝ち急いだ終盤の失点は反省点。四国でもワンプレーを大切に「守り勝つ」うちの野球で頂点に立ちたい。

 すべてを鍛え直す

 明徳・馬渕史郎監督の話 (中盤までの大量点差の)展開で小技を使うこともできなかった。ただ、敗戦濃厚な中で7点取れたことはプラス材料。うちは県2位校から甲子園に行ったこともある。あと2週間、すべてを鍛え直す。

 2年連続大きい

 室戸・横川恒雄監督の話 2年連続の四国大会に出場できる意味は大きい。選手がきのうの負けを引きずらず、攻める気持ちで試合してくれた。この雰囲気を持ち続けて四国大会に臨みたい。

 チームの設計図を明確に ―総評―

 新チーム結成から今大会の開幕まで時間がない。各校指導者が選手の能力を見極め、試行錯誤を繰り返す、チームの“骨格”づくりの大切な時期だが、チームの設計図をどれだけ明確に描いていたかどうかで、この後が違ってくる。また、意図がはっきりしたチームほど今大会を通して成長を遂げたように感じた。

 5年ぶり優勝の高知が目指したのは、「余計な点をやらないチーム」。1イニングに2点以上やらないという意味だが、まだチームの成熟度が低い時期は簡単ではない。ミスが出はじめると連鎖するのが高校生だ。県新人戦の明徳義塾との決勝の大敗を教訓に「エラーが出たときに切り替えられるよう公式戦を意識して練習した」と島田監督。打たせて取るエース国尾を4試合で2失策のバックが支えた。結局1イニングの複数失点は決勝の明徳戦で大勢が決した後の2回だけだった。

 準優勝の明徳は、ここ一番に畳み掛ける打線の集中力はさすがだった。テーマにした守りも試合ごとに良くなっていったが、馬淵監督は「自分でまだ状況判断ができない」と厳しい。記録に残らないミスが勝敗に響いたように見えた。選手1人1人の適切な判断の基になるのは試合経験によるところが大きいという。

 連年の四国大会出場を勝ち取った室戸の考え方はまた違う。一言で言えば、「勝たないと育たない」だった。勝って上に進むことによって選手が得るものが大きいというわけだ。ミスは出たが、県代表獲得への執念がチームを大崩れさせなかった。対照的に3位決定戦で敗れた高知商はエースの不調はあったが、それよりも続出したミスをゲーム中に修正できなかった方が痛かったのではないか。

 旧チームメンバーが、ほぼそっくり残った宿毛はポジションを大幅に組み替えて臨んだ。さらに上を目指すため、これまでの経験を生かすより、あえて試行錯誤の道を選んだ。今回は結果に結びつかなかったがナインも納得済み。冬場の鍛錬の大きなヒントを得たのではないか。

 神宮大会に地区代表が出る決まりになって、秋季大会の開幕が早まった。以前に比べると約1カ月の前倒しだ。それだけに練習試合でも公式戦でも、この時期の1試合の価値は増している。じっくりチームを見たい半面、ある程度の勝つ形を持たなければならないジレンマの中にある。それでも、来夏へ強い“筋肉”をまとうために、がっしりとした骨組みは今しかつくれないと思う。(森本敦士)

(2006年10月9日付・朝刊)


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