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高知商「あと一本」出ず 先制後4度好機逸す
高知商打線、チャンスに一本出ず―、第7日は12日、甲子園球場で2回戦4試合を行い、9年ぶり22度目出場の高知商は、春夏通じて初出場の鹿児島工(鹿児島)に2―3で惜敗した。早実(西東京)をはじめ、鹿児島工(鹿児島)帝京(東東京)香川西(香川)が3回戦に進んだ。
49代表校の最後に登場した鹿児島工に対し、高知商は二回、筒井、溝渕の連打の二、三塁で6番中岡が右前打。鮮やかに2点先制した。走者を許しながらも三回まで無失点でしのいだ先発中平は四回、4安打にスクイズも絡めた鹿児島工の攻めに同点にされると、五回から2年生小松を投入。六回無死満塁のピンチを併殺でしのいだ小松だが、七回に4番鮫島に勝ち越し打を許した。打線は四、六、七回と得点圏に走者を進めながら、鹿児島工バッテリーの巧みな配球にタイムリーが出ず、九回無死一、二塁も捕手けん制で走者が刺されるなど、先発榎下を継いだ下茂にしのがれた。
【写真説明】鹿児島工に惜敗、応援の三塁側アルプススタンドへの礼を済ませ、引き揚げる高知商ナイン(甲子園)
▽2回戦(13時39分、47000人)
| 鹿児島工 |
000 200 100 |
3 |
| 高 知 商 |
020 000 010 |
2 |
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【評】ともに11安打を放ち、残塁も鹿児島工9に対し、高知商10。互いに決め手を欠く競り合いで高知商が1点差の逆転負けを喫した。
相手打者へのバッテリーの攻め方も勝敗を分けた。
中平、小松の投手陣は五回を除く毎回走者を背負いながら3失点でとどめた。先発中平は四回2失点。緩急を使い、右方向狙いの打線をしのいだ。ただ4安打にスクイズも絡められ2点失った四回は内角球が極端に減った。
2番手小松はカーブの制球がもうひとつ。六回の無死満塁は併殺で切り抜けたが、七回の決勝点は二死三塁で4番鮫島に浴びた左前打。外角球3つのカウント1―2から内角球がやや甘く入った。攻守の要に対して、歩かせる手もあったが、いずれにしても中途半端だった。
高知商打線は、先制してなお一死一、三塁だった二回をはじめ四、六、七、九回と得点圏に走者を進めた。しかし、あと一本は内外角を投げ分ける鹿児島工バッテリーに許してもらえなかった。3つの犠打をきっちり決めた鹿児島工に対して、バントミスが続いたことも、もちろんマイナスに響いた。(山崎道生)
攻めにもどかしさ
九回裏二死一、二塁。快音を残した松岡の鋭い打球が投手の足に当たり二塁手前へのイージーゴロになった。この日の高知商の攻めの「もどかしさ」を象徴するような最後で、9年ぶりの甲子園は幕を閉じた。
二回、4番筒井からの3連打で2点先制した。県大会決勝の明徳義塾戦、甲子園1回戦の白樺学園戦で見せた「後半勝負」が得意スタイルだとしても、先に点を取って悪いわけがない。だが、高知商ペースにはならなかった。
1回戦でも目立った送りバントミスが止まらなかったのが原因。筒井のヒットの後、溝渕は2球続けてバントをファウル、仕方なく切り替えたヒッティングが当たった「結果オーライ」では、流れはつかめない。四回無死二塁、六回無死一、二塁でも走者を進められなかった。「バントできない球ではなかったけど…」と中岡。チーム全打点を挙げた6番は肩を落とした。
九回無死一、二塁は、試合をひっくり返すと同時に、かっちりした野球をやる最後のチャンスだった。それが打者が2球目のストライクをセーフティー気味に見送った途端、捕手けん制で二塁走者は刺された。サインはセーフティーバントだったというが、走者は「ストライクだったので飛び出してしまった」。
鹿児島工の捕手鮫島は「(高知商の)打者のボールの見逃し方や、ほかの選手の表情を見て、とにかく打者の目先を変えるよう意識した」と言う。細心の注意を払って臨んだ相手に対して、自分から攻めのリズムを崩してしまっては、得点を奪うことは難しい。
「僕が弱気になってしまい、中途半端なサインを出してしまった」と西原監督は選手をかばったが、打力自慢同士の打ち合い予想も崩れそうで崩れない両チーム。接戦を覚悟する中、「細心」の心構えができていたのかどうかが勝負を分けたのではないか。(山崎道生)
【写真説明】【鹿児島工―高知商】2回裏高知商無死二、三塁、中岡が先制の右前打を放つ。捕手鮫島(甲子園)
本当に良かった
5番溝渕は二塁打2本を含む4打数4安打。敗れはしたが、甲子園2試合で6割6分7厘と大当たりだった。
この日は低い打球を打つよう心掛けたという。予想以上に相手投手の直球は手元で伸びたが、シャープなスイングで左右に打ち分けた。変化球にもしっかり体を残して対応したが、安打量産より、その前のバントミスを悔やんでいる様子。「投手の正面にならないよう意識しすぎた」
それでも、昨年1月に亡くした同校野球部の“大先輩”である父、敏博さんと一緒に夢見てきた大舞台で活躍できた。「ここまで来ることができて本当に良かった」と胸を張った。(山崎道生)
背番号1の意地 中平4回2失点
1回戦7失点の高知商投手陣だが、この日は県大会4割3分の鹿児島工打線相手に3失点。一番の違いは「背番号1」中平の頑張り。敗れはしたが、それが接戦を生んだ。
1回戦同様、初回先頭打者にヒットを許した。しかしあっという間に2点を奪われた6日前とは違い、一死二塁で怖い3、4番を緩急を使って打ち取った。
マウンド上で落ち着いていた。走者を出しても2度、3度とけん制する姿は1回戦では見られなかったもの。高めに浮く球もあるにはあったが、「真っすぐでカウントを稼いで、変化球で打たせて取る」持ち味を出した。右打ち得意の鹿児島工から三回までファースト側のファウルフライを3つ取った。コースを丁寧に突いた結果の4回2失点だった。
球威、制球とももうひとつだったこともあり、昨秋横手投げに変えた。細表で、一見優しそうに見える顔の下には、「小松と同じぐらい強気」(山下)な顔がある。フォーム改造に不満はあっただろうが、最後の夏を前に、高知商の「背番号1」を手に入れた。もちろん秋のエース小松が調子を崩していたこともあるが、西原監督は中平をかたくなに先発で使い続けた。それは3年生の意地を信じたからだ。
「プレッシャーは、ずっとありました。でも、最後に納得いくピッチングができてよかった」と、ようやく指揮官の信頼に応えた投球を振り返った。
1試合を投げ切れるのが「エース」。でも、任された役割をしっかり果たすのも、また「エース」。スタンドで応援した後輩たちに「背番号1」を付けた男の意地を表現して見せた。(山崎道生)
【写真説明】強打の鹿児島工打線を4回2失点でしのいだ高知商の先発中平(甲子園)
自分の思いきり悪い
高知商・西原均監督の話 鹿児島工さんは投手もよく、いいチームだった。選手はよくやってくれたが、バントで確実につなぐ野球ができなかった。序盤でスクイズなどを仕掛けて、追加点を取りにいかないといけなかったかもしれない。自分の思い切りが良くなかった。
高知商・松岡三塁手 (最後の打者)「抜けると思ったけど運がなかった」
(2006年8月13日付・朝刊)
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