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9年ぶり「鵬程万里」 逆転劇に応援団熱狂
9年ぶり、猛暑の聖地での熱い戦いに、アルプスの応援団もこぶしを突き上げ、必死でメガホンを揺らした。甲子園球場で6日始まった第88回全国高校野球選手権大会の開幕試合で、郷土代表の高知商業高は北北海道の白樺学園高に10―7の逆転勝ち。野球どころの土佐っ子が意地を見せた攻勢に、高知商の応援団は熱狂の渦。炎熱の球場に9年ぶりの「鵬程万里」がとどろいた。
開会式の興奮が残る中で始まった試合は、序盤に先行されて追いすがる展開になった。追い付けそうで追い付けない。炎熱の中、同点・逆転というオアシスは、近づけば消える陽炎(かげろう)のようだった。
しかし選手も、応援席もあきらめない。スタンドでは同校ブラスバンドが「よさこい節」を響かせて応援を続けた。
じりじりした展開ながら、応援席には「県大会決勝の明徳義塾戦と同じ展開」と落ち着いて見る人たちも。昭和25年のセンバツ準優勝を経験し、翌年はエースを務めた吉井保年さん(72)=大阪市住之江区=は「今年のチームは粘りがあるから後半勝負」。
その言葉通り、六回裏に前田竜太遊撃手のホームランが飛び出した。これでついに同点。前田遊撃手の父、貴彦さん(49)=高知市瀬戸=は「よう打ってくれた。序盤に送りバントの失敗があったき…。感無量です」。
後は一気に押せ押せムード。得点が入るたび、「よっしゃー!」「うおー!」。アルプスは総立ちだ。老若男女を問わずこぶしを突き上げ、肩を抱き合う。赤のメガホンや鳴子を打ち鳴らし、スタンド全体が真っ赤な波となって揺れた。
八回裏には昨年1月に高知商野球部OBの父・敏博さんを亡くした溝渕悠人右翼手が二塁打し、相手を突き放すきっかけをつくった。伯父の貞雄さん(51)=高知市六泉寺町、同OB=は、「緊張する場面でよく打った。これで気持ちが楽になったと思います」。
試合終了。校歌「鵬程万里」が9年ぶりに甲子園に流れ、OBらは感激の様子。「うちの校歌、やっぱり短いね」「次も聞かせてもらわんとね」と応援席は笑顔、笑顔だった。
【写真説明】6回裏、一挙4点を奪っての逆転に大喜びする一塁側スタンドの高知商応援団(甲子園)
バス35台 2000人駆け付ける
高知商の一塁側アルプススタンドには、5日深夜にバス17台で学校を出発した生徒や父母らが約700人。ほかにも土佐市や高岡郡津野町など、選手の地元から繰り出したバス18台が開会式前に甲子園入りした。
久しぶりの母校の出場に関西や東海の校友会も駆け付け、総勢2000人の大応援団に。統括責任者を務める下坂速人教頭は「甲子園から随分離れていたから、期待の大きさを感じます」。
応援団の中には3年生野球部員36人のうち、志願組の7人も。甲子園出場を決めた翌々日から本格的な応援練習を重ねてきた橋田祐弥さん(17)は、「みんなで一つになって戦う。伝統校の名に恥じない試合を」と白いTシャツにはちまき姿で声を枯らした。
ヒロ君次は頼むぞ! 地元四万十町で観戦会
高知商高の中平弘人投手の地元、高岡郡四万十町では応援観戦会が開かれ、山の小さな学校出身のエースに声援を送った。
中平投手は旧幡多郡十和村小野出身で、十和小学校=廃校=から十川中を経て進学。この日は祖母の酒井久美さん(79)が暮らす地吉地区の集会所に住民ら約30人が集まった。「中平弘人君がんばれ!」の横断幕が張られた大広間でテレビ観戦。声援が飛ぶ中、中平投手は連打を浴び三回途中で無念の降板となった。
途中、点差が開き静まり返る場面もあったが、底力を見せた逆転勝ちに集会所は拍手と歓声に包まれた。酒井さんは「私も緊張したけど、ヒロ君はもっと緊張しているように見えた。勝って良かった。(二番手の)小松君のおかげ。次も頑張ってほしい」と胸をなで下ろしていた。
(2006年8月7日付・朝刊)
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