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 高知商 執念の大逆転

 高知商、執念の逆転劇で9年ぶりの夢舞台―。最終日は26日、春野球場で高知商―明徳義塾の決勝戦を行い、序盤から点を取り合う試合を、七、八回に計8点を取った高知商が11―6で制し、9年ぶり22度目の甲子園出場を決めた。昨夏の甲子園出場を不祥事で辞退した明徳は2年ぶり12度目の代表はならなかった。

 2年ぶり6度目の決勝での顔合わせで、前半ペースをつかんだのは明徳。1点を追う三回一死一、三塁から4番永松の2点二塁打で逆転。さらに捕逸と北出の二塁打で2点を加え、3点差とした。

 高知商は2番手小松の好投を終盤の反撃に結びつけた。3―6の七回、中岡、山下の連打などの二死満塁から9番石川が左翼線に走者一掃二塁打を放ち同点。続く八回は四死球と捕逸の一死二、三塁から溝渕の左前打で勝ち越し。さらに山下のヒットや押し出し四死球で、この回計5点を挙げた。三回途中からリリーフした小松は九回の明徳の攻撃を3人で締めくくった。

▽決勝
明 徳 104 000 100
高知商 200 001 35× 11
【高知商―明徳義塾】7回裏高知商2死満塁、石川がレフト線へ走者一掃二塁打を放ち、6―6の同点とする。捕手永松(春野球場、岡崎晴光撮影)

 【評】高知商の終盤の逆転には執念を感じた。ヒット数で上回り、三回を除く毎回得点圏走者と攻めながらの劣勢。嫌な流れを六―八回の計9点で一気に晴らした。

 一回裏にいったん逆転した高知商だが、その後本塁は遠かった。六回一死一塁からの石川の二盗が前田の二塁打に結びついた。まだ負けてはいるが、5イニングスぶりの得点が逆転の布石になった。再び3点差にされた七回は二死満塁。9番石川が2番手の小戸森から左翼線に走者一掃二塁打で同点。流れが来た八回は2四死球と捕逸の一死二、三塁で溝渕が勝ち越し打、山下もタイムリーで続き、後は3連続押し出し四死球でダメを押した計5点だった。

閉会式で優勝旗を手にした石川主将を先頭に行進する高知商ナイン(春野球場)

 3点差にされた三回一死一、二塁で登板の小松も粘った。七回に1点は失ったが、最後まで投げた。八回一死二塁で相手の三塁盗塁を阻む捕手山下の機敏な送球も光った。

 明徳は先発伊勢の制球がもうひとつながら、中盤まで守りで要所を締めた。三回に永松の二塁打など長短3安打で4点を挙げ逆転したが、五回以降は単打2本。早い回であと1点の追加が欲しかった。(横田宰成)

 【写真説明上】【高知商―明徳義塾】7回裏高知商2死満塁、石川がレフト線へ走者一掃二塁打を放ち、6―6の同点とする。捕手永松(春野球場)

 【写真説明下】閉会式で優勝旗を手にした石川主将を先頭に行進する高知商ナイン(春野球場)

 チーム一つになった

 高知商・西原均監督の話 選手に第1シードのプレッシャーがあったと思うが、本当に良くやってくれた。リードされてからも最後まであきらめずに、攻め続けたことが七回の同点、八回の逆転につながった。36人の3年生を中心にチームが一つになった勝利だと思う。

 選手は全力出した

 明徳義塾・飯野勝監督の話 逆転した後、中盤までは理想的な展開だったが、「あきらめない野球」を高知商さんにやられた。投手陣には低めの投球を徹底させたが、(同点打の)石川君には内角いっぱいの球を打たれてしまった。負けは自分の責任。選手は全力を出し切ってくれた。

 総評 自分で「考える」ことを大切に

 高知商が1997年以来の甲子園出場を決め、大会は幕を閉じた。高知商は決勝で、明徳義塾に終盤までリードされながら、最後まで粘った。決して格好の良い勝ち方ではなかったが、高校野球の原点は「あきらめない気持ち」であることを再確認させられた優勝だった。

 明徳の集中打も見事だった。準々決勝では一回に先発全員安打、全員得点の大会新記録。準決勝も一気に試合を決める序盤の猛攻だった。投打に大黒柱がいた旧チームと比べると小粒。だが、「つなぐ」意識の高いチームだった。7カ月間のブランクからの“復活”を印象づけた。

 今大会でヒットが3者連続(四死球、犠打を含む)以上続いた連打は58回あった。1試合2回の計算だが、明徳に代表される印象に残る「連打」は少なくなかった。高知農は1回戦で大会タイ記録の9連打(犠打を挟む)。高知農の豊田監督は1回戦のゲーム中に、もうひとつの打線がつながるためにどうすればいいか、選手に考えさせた。

 一方、「(打線がつながるのは)狙い球やエンドランのサインを出したりする指導者の力」という話も聞いた。どちらも間違いではないと思う。指導者の的確な指示はもちろん必要だが、選手も「指示待ち」ではなく、自分で「考える」ことを大切にしてほしい。それは間違いなく成長につながる。

 「連打」を浴びる方の守備にも同じことは言える。大会序盤は相手の流れを断ち切る狙いで「間」を取るシーンがあまり見られなかった。野球は「考える間」のあるスポーツだ。「間」の使い方ひとつで展開を変えることはできる。明徳の二塁手中本は高知との1回戦で一回、先頭打者にノースリーとなったエースにひと声掛け、立ち直らせるきっかけをつくった。

 もちろん、声を掛けるタイミングや、効果的な言葉を一朝一夕で身に付けることはできない。選手だけでなく、指導者も普段の練習から選手とコミュニケーションを取り、養わせてほしい。「意識」の高さも必要になる。有力校の「間」に抜け目ないのは、「上」を見据えている部分も大いに関係する。戦国大会と見られた今回も、終わってみれば上位校の顔触れには「意識」の高いチームが多かったように思う。

 2番手と見られたチームでも特筆できることがあった。高知西は明徳に大敗したものの、重盗を試み、本盗で1点を奪った。自分のできるものを精いっぱい出して戦う姿勢を忘れなかった。部員が増えた学校が多い高知市内の県立校だが、小津が48年ぶりの4強に入った。ノーエラーで4試合を乗り切ったが、練習環境などに恵まれない多くの学校を勇気づけた快進撃だった。41年ぶり出場の丸の内もはつらつプレーで球場を沸かせた。

 自分たちのできることは何か、そして「上」を目指し続ける―。その2点を忘れては成果につながらない。あらためて、そう感じさせられた。(山崎道生)

(2006年7月27日付・朝刊)


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