第57回高知県中学野球選手権大会

2006年8月23日(水)<朝刊>

 決勝は愛宕―高知

 第57回中学野球選手権大会第9日は22日、高知球場で準決勝を行い、愛宕と高知が決勝に進んだ。愛宕は15年ぶり3度目、高知は3年ぶり20度目の決勝進出。両校とも前回進んだ決勝戦は勝っており、愛宕は2度目、高知は最多14度目の優勝を懸ける。両校の決勝対決は初めて。

 野市―愛宕は、野市浜田、愛宕藤原の両先発の投げ合い。1―1の六回、愛宕は二死から相手失策で1点勝ち越し、さらに満塁から伊与木の二塁打で3点を追加。初の決勝進出を狙った野市を、5―1で破った。

 高知―土佐は高知が二回、相手守備の乱れに乗じ、2点先制。七回表に2四球の二死一、二塁から近森、西森優の連続適時打で同点とされたが、その裏、二死三塁から大石がサヨナラの中前打を放ち、3―2と競り勝った。高知は大会通算160勝目。土佐は、3年ぶりの決勝進出がならなかった。

 最終日は23日、午前10時から春野球場で、決勝を行う。

 愛宕が6回突き放す 野市、浜田を援護できず

【野市―愛宕】6回表愛宕2死満塁、9番伊与木が走者一掃の左越え二塁打を放ち、5―1とリードを広げる(高知球場) 【評】愛宕が六回に4点を勝ち越し、野市を5―1で破ったが、愛宕藤原、野市浜田の両先発の投げ合いで、終盤まで1点を争う好ゲームとなった。

 愛宕は先制された直後の二回、河添、宗崎の二塁打で同点。三―五回は無安打に抑えられたが、六回二死二塁から相手失策で勝ち越し。さらに浜田から宗崎、藤原が四球を選び満塁とすると、伊与木が初球を走者一掃の二塁打で試合を決定付けた。藤原は5連続完封は逃したが、尻上がりの投球。切れの良いスライダーを武器に、無四球で完投した。守備も無失策で支えた。

 野市は一回、積極的な打撃で田内、岩本、浜田の安打で1点を先制。愛宕を上回る6安打を放ったが、追加点に結び付かず、好投浜田を援護できなかった。(大山泰志)

 【写真説明】【野市―愛宕】6回表愛宕2死満塁、9番伊与木が走者一掃の左越え二塁打を放ち、5―1とリードを広げる(高知球場)

 頼もしい9番打者 愛宕

 1―1のまま終盤に入った投手戦に、愛宕は六回の攻撃でけりをつけた。1点勝ち越して連続四球で、さらに二死満塁。ここで打席に入った伊与木は「変化球が入ってないので直球に絞っていました」。冷静な読みで、初球を狙い、真ん中低めのストレートを強振した。

 「手応えがあって絶対抜けると思いました」(伊与木)。打球は左翼を越え、試合を決める3点をもぎ取った。

 「1打席目はチャンスで打ち取られたが、狙い球と打球の方向が良かった。打つような感じがしてました」と梶原監督。頼もしい9番打者の一打に納得の様子だった。

 次は決勝。梶原監督は「早いカウントから積極的に振らせたい」と、伸び伸びと打たせるつもりだ。伊与木も「次も打線が頑張って連投の藤原を助けたい」。投打のかみ合った愛宕が15年ぶりの頂点を目指す。(青木一英)

 闘志に続投決断

 野市六回表の守りは、1―2と逆転されてなお二死満塁。2番手田内への継投も考えられたが、バッテリーの闘志が、森田監督に続投を決断させた。

 春先からの県内3大会は1回戦負けだったが、今大会は過去の最高成績と並ぶ準決勝進出。早め早めの継投が快進撃を支えたが、軸となったのは全試合先発の浜田だった。

 「変化球のサインが出せない」(岩本捕手)ほどの疲労はあったが、岩本が「ベストピッチをさせます」、浜田も力強く「投げます」と続投を直訴した。

 結果は打たれたが、「戦う気持ちがうれしかった」と森田監督。試合後、目をはらすナインに「好きなだけ泣いて、胸を張れ」と声を掛けた。(横田宰成)

 高知サヨナラ勝ち 土佐打線あと1本出ず

【高知―土佐】2回裏高知1死満塁、ヒットエンドラン失敗で三塁走者和田が三本間に挟まれるが、挟殺プレーの乱れで2者が生還し2―0となる。三塁手佐藤、捕手内山(高知球場) 【評】高知は七回二死から2点リードを追い付かれたが、その裏に1点をもぎ取り土佐にサヨナラ勝ちした。

 高知は二回、和田、田村、宇賀の内野安打で無死満塁。一死後、エンドラン失敗で三塁走者が飛び出したが、送球が走者に当たり、それる間に2者がかえり、幸運な先制点を奪った。その後追加点を奪えなかったが、2―2とされた七回裏、二死三塁から大石が中前にサヨナラ打。土壇場で勝負強さを見せた。先発和田は制球に苦しんだが、粘り強く打たせて取り、土佐打線を七回の2点に抑えた。

 土佐はエース山形が直球と変化球のコンビネーションで自責点0と好投したが、守備の乱れが痛かった。打線は六回を除く毎回、得点圏に走者を進めたが、あと一本が出なかった。(大山泰志)

 【写真説明】【高知―土佐】2回裏高知1死満塁、ヒットエンドラン失敗で三塁走者和田が三本間に挟まれるが、挟殺プレーの乱れで2者が生還し2―0となる。三塁手佐藤、捕手内山(高知球場)

 高知、接戦制し選手成長

 高知2点リードで迎えた七回表二死から、好投の和田が2四球を与えた。ここから「勝ちを意識して置きに行った球」を連打され、「まさか」の同点。流れは土佐に傾いたかに見えた。

 しかし高知は、優勝候補の芸西との4回戦も、サヨナラ負けのピンチをしのいで競り勝っている。「同点になっただけ。気持ちで負けなければ勝てる」と、ナインに浮足だったところはなかった。

 「バックに任せろ」。チームメートの言葉に、「目が覚めた」と和田。続く二死一、二塁の窮地に、次打者を低めの速球2つで追い込む。最後は「きょう一番のボールだった」という鋭いカーブで空振りさせ、七回裏の決勝打につなげた。

 接戦を制するたび、成長している高知ナイン。「2校しか経験できない最終戦だ。明るく楽しく行こう」。浜口監督の言葉にうなずく姿は頼もしかった。(横田宰成)

 山形ねぎらう監督

 土佐の右腕山形は、球威のある速球と鋭く曲がるカーブ、スライダーを丁寧に組み立て、二回の2失点以降は高知打線を六回まで0点に抑えた。

 「2点差なら絶対に追い付いてくれると信じて集中して投げました」。山形の思いに打線が応え、七回表二死走者なしから2―2に追い付いた。しかし、その裏二死三塁から山形が思い切り投げ込んだ直球は、センター前へのサヨナラ打となった。

 坂本監督は「エースの山形が勝負して打たれた負けなら納得です。選手も全員がそう思っていると思う」。チームを支えた背番号1の力投をねぎらった。(青木一英)

 決勝戦見どころ 実力伯仲3、4点勝負か

 決勝は初顔合わせの愛宕―高知。3年ぶりの高知市勢対決となった。両校は新チームになってから2度対戦しており、1勝1敗。昨年9月の西原旗杯新人大会決勝は愛宕が4―3で逆転勝ち。6月の県体地区予選決勝で高知が1―0と競り勝って雪辱を果たした。

 実力は伯仲しており、投手の出来が鍵を握る。愛宕の藤原は、2回戦から準々決勝まで4試合連続完封を果たした。6試合、39回を被安打19、3四死球で1失点。外角へのスライダーを決め球に打たせて取る投球がさえており、内外野もここまで1失策の堅守で支えた。

 高知はエース和田が3回戦の室戸戦で、無安打無得点試合を達成した。直球、変化球とも切れが良く、4試合22回を被安打11、28奪三振。4回戦で県体優勝の芸西に競り勝ったのをはじめ、強豪ぞろいの激戦区を安定した守りで勝ち上がった。準決勝までの5試合で計5失点、1試合平均1失策。

 しかし、愛宕の右腕藤原は20日の4回戦から4連投となる。高知のエース和田も連日の登板で疲労が心配されるため、ともに勝利を確実にするには打線の援護が必要だろう。

 愛宕は下位打線が当たっており、準々決勝、準決勝では6―9番の安打が得点に絡んだ。特に9番伊与木は、今大会ここまで6安打7打点と振れている。一方、全体に振りの鋭い高知打線は、軸となる4番浜口が好調をキープしている。

 愛宕・梶原監督は「手堅くつくったチャンスを大胆に攻めたい」。高知・浜口監督は「1点ずつ確実に取って主導権を握る」。ともに3、4点勝負と見ており、熱戦は最後までもつれそうだ。(青木一英)


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