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ベルル共済問題

2006年10月23日

支社員も「なぜ倒産?」 ベルル共済問題

 従業員に解雇通知を出して営業を突然停止した「ベルル生命医療保障共済会」と運営会社の「ベルルライフサービス」(ともに徳島市)は、疾病や介護に備えた共済や積み立て型の年金など6種類の商品を販売し、平成11年の共済商品発売以降、四国4県で約35億円を集金していた。高知支社は、うち約19億3900万円を本部に入金しており、高知支社員らは「解約手続きや給付金など、契約者への支払いが遅れることは最後までなかった」と説明。「なぜ倒産するのか分からない」と、やり切れなさがにじむ表情で22日も顧客対応を続けた。(社会部取材班)

 【写真説明】契約者に対し頭を下げて謝罪を繰り返すベルル高知支社の社員ら(高知市南はりまや町1丁目)

 顧客に給付遅れなし 幹部ら「外貨で運用」

 ベルル共済の商品は、介護医療保障共済▽個人自由年金▽大型生命医療共済▽あんしん人生(入院や通院費の保障)▽新がん共済▽社債―の6種。主力商品は個人自由年金と介護医療保障共済で、高知支社の実績ではいずれも入金額8億円を超えていた。

 ■つじつま合う

 12年9月に発売された個人自由年金は、655件・約8億7700万円を県内で販売した。

 1口10万円で、最初の5年間が年利2・8%、6年目以降が同2%の15年満期。満期を迎えた契約者は一括で受け取れば元金の125%、3年分割なら134%、5年分割なら145%の年金を受け取れる仕組み。いつ解約しても元金分は戻るという触れ込みだった。

 発売当初、今月死亡した同社の社長や自殺未遂騒ぎを起こした女性常務らは、高知支社員に対して円を外貨に替えて運用する「外貨建資産運用」を行うと説明。

 支社員らは「今、運用している国の金利が5・8―6・0%あり、仮に途中解約されても社は元がとれる」などと聞かされていた。運用する外貨はニュージーランド、オーストラリア、カナダ、米国など。為替レートや各国の金利を調べると、元社長らの説明はつじつまが合っていたという。

 ■「応援しちゃろう」

 11年5月に発売した介護医療保障共済も、累計で1076件・8億900万円余りの掛け金を県内で集めていた。

 この共済は、要介護認定を受けた場合、5年間で最大1500万円を保障し、現金で毎月定額を受給する仕組み。要介護認定を受けなかった場合も65歳以降、年金の形で掛け金を返してもらえるシステムだった。

 支社員によると、「疾病例の審査は厳しくやった」そうだが、「自分の老後は子どもたちに迷惑を掛けたくないという契約者が多く、実績が伸びた」と話す。

 さらに同社幹部は「保険業法改正に伴う保険会社移行に向け、10億円の資本金が必要」と説明し、昨年9月から年利3・5―4%(3年満期、5年満期)の配当付き社債を発売していた。

 高知支社でもことし2月から本格販売を始めたが、「これまでの関係から『(保険会社化を)応援しちゃろう』と言ってくれるお客さんもいた」(同支社員)といい、県内で2億820万円を売り上げていた。

 ■解雇されても出社

 支社に残っているデータによると、契約者の疾病や入院、要介護認定などに伴う各共済の給付実績(支出)は、支社分の集金19億円余りに対し、先月末現在で約1億5583万円。

 同支社員は「年金などの解約手続きや、共済の各給付金の支給が契約者に対して遅れたことはなかった」と説明。「資金繰りが苦しいなどとは思ってもみなかった。なぜ倒産するのか分からない。普通に運用していれば、倒産するはずがない」とする。

 高知市南はりまや町1丁目のベルル社高知支社には通常なら休日の22日も、解雇通知を受けた支社員3人が午前8時半ごろから「独自の判断」で出社。「どう言ってもわれわれは加害者ですから」と、契約者からの鳴りやまない電話に謝罪と説明を続けていた。

 高知支社員から情報収集 高知署 県警に相談43件

 ベルル生命医療保障共済会(徳島市)の営業停止問題で、高知署は22日、高知市南はりまや町1丁目の高知支社に出向き、社員から営業停止の経緯などを聞いた。

 県警本部捜査二課によると、営業停止が表面化した20日以降、県内の契約者らから県警に43件の相談が寄せられているという(22日午後6時現在)。こうした事態を受け、情報収集に入ったとみられる。

 同署員が22日夕、高知支社を訪れ、支社の責任者や事務担当者ら3人から約1時間、話を聞いた。徳島本部から営業停止の指示が下りる前の本部幹部と高知支社とのやりとりや、組織構成などの説明を受けた。

 事業実態全力で精査 山本金融相

 突然営業を停止したベルル生命医療保障共済会(徳島市)について、山本有二金融・再チャレンジ担当相(高知3区・自民)は22日、「利用者保護の観点から、金融庁としてこの会社の事業実態について全力を挙げ精査する」と述べた。

 ベルル社はJA共済などの「制度共済」とは異なり、行政官庁の監督が及ばず、契約者の保護制度がない「無認可共済」として活動してきた。今春の保険業法改正で、こうした事業者も平成20年春までに「免許制の保険会社」か「登録制の少額短期保険業」に移行することになったが、法整備の過渡期での破たんだけに、契約者の被害救済が困難視されている。

 山本金融相は「ベルル社と契約されて損害を被った方を大変お気の毒に思う。(法律的な)対応がもう少し早ければよかった」とした上で、「ベルル社が9月下旬に四国財務局に(組織概要などを)届け出た段階から金融庁が監督官庁となった。届け出が最近のことで、まだ十分な監督が行き届いていないが、この会社がどういう事業をしてきたのか調べ、必要な対応をする」と話した。

 各自引き落とし停止を 高知支社呼びかけ

 営業を停止した「ベルル生命医療保障共済会」(本部・徳島市)の問題で、契約者の口座から掛け金が自動的に引き落とされる可能性が高いことが22日分かった。このためグループ会社の役員が23日、メーンバンクの阿波銀行に引き落としの中止を求める。

 この役員らによると、月払い商品の各金融機関の引き落とし日は毎月26日か27日で、契約者の口座から一定額が引き落とされる仕組み。例えば今月26日には少なくとも1229件分の掛け金790万円が自動的に同共済会の口座に引き落とされることになっている。

 ベルル共済は事実上、経営破たんしているが、まだ法的な資産の凍結や保全手続きはされていない。このまま機械的に自動引き落としが続けば、契約者の被害額がさらに増えることになる。

 責任者不在の中、独自に顧客対応を続けている高知支社は「お客さまは遅くとも25日の午前中に印鑑と通帳を銀行に持参し、窓口にベルルからの引き落としを止めるように求めてください」と呼び掛けている。


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